ともいしろの雑記帳

クロアチア在住研究者の日記

宣伝・オンライン講演「量子コンピュータ実用化に向けて」

宣伝かつ忘備録になります。

理化学研究所のiTHEMSグループ主催で、量子コンピューターに関するZoom講演が開催されます(言語は日本語)。

基本情報

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理研数理創造プログラム 産学連携数理レクチャー

講演タイトル:量子コンピュータ実用化に向けて
日時:2020年12月4日(金)10:30 - 12:00

講演者:松浦 俊司(Fundamental Researcher, 1QBit, Canada)
詳細:

量子コンピュータ実用化に向けて | iTHEMS

申し込み:

https://zoom.us/webinar/register/WN_dyiTOL19TzKZdsaca92izg

主催: 理研iTHEMS https://ithems.riken.jp/ja
共催: (株)理研数理 https://www.riken-suuri.jp/
1QBit: https://1qbit.com/
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蛇足1

私が大学院生の頃(2008~2010年)に就職活動をしていたとき、とある日本の大手エレクトロニクス企業の採用担当者の方とお話しする機会がありました。そのときの担当者様曰く、「あと10年から20年ほどで、量子コンピューターを実用化し、皆様に使っていただけるように頑張っている。」とおっしゃっておりました。実際、あれから丁度10年で、量子コンピューターは目覚ましく進歩しました。あの予言がズバリ的中するかどうか、個人的にとても楽しみ。

それにしても、就職活動中には、他にも貴重なお話を色々と聞けたのが感慨深いです。実際、社会人になってしまうと、おいそれとはお近づきになれないような大企業でも、就活生ならとりあえず門前払いはされないのは、ある種の特権です。

蛇足2

本講演の講演者の所属である1QBit、気になったので調べたら、カナダのIT企業でした。なんというか、量子コンピューター関連企業の話題になると、本当に国際色豊かになりますね。その反面、日本企業の現状が少し心配、、、。

クロアチア、再ロックダウン。

残念ながら、表題の通りとなってしまいました。

クロアチアは過去の約一ヶ月、毎日2000~3000人のCOVID-19新規感染者を出しています。人口比で考えると、恐らくヨーロッパ諸国の中でも最悪な状況です。

先週土曜日から新たに、
・公共交通機関の乗車宣言(定員の4割まで)。
・カフェ、レストランの営業停止(持ち帰りは可)。
というルールになりました。

写真はそんな状況下でのマクドナルドの店舗です。店内への入店はできず、店先で注文して、お持ち帰りとなります。

んで、割とシャレにならない状況なはずなんですが、街中は結構盛況なんですよね。電車やバス内でなければ、マスク付けている人も半分くらいだし。恐らくですが、「どんなに気を付けても無駄」という諦念と、「かかったらその時はその時」という開き直りが混じった心情なのかと。あと、今年3月~6月の第一回目のロックダウンで、すでにかなりの経済的損害が出ており、ここで再度、経済を完全に止めるのはもはや不可能、という事情もあります。

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オンラインイベント(物理学関係)

近日開催予定のオンラインイベント2件のご案内になります。

 

Deep learning and Physics 2020

リンク:Deep learning and Physics 2020

ディープラーニング(深層機械学習)の物理学への応用研究を定期的にセミナー形式で発信しているシリーズになります。オンラインWeb会議システムを利用したセミナーで、登録する際には大学もしくは研究機関所属のメールアドレスが必要になります。このセミナーは講師が交代しながら定期的に開催されています。

君は本当にブラックホールを知っているか?

日時:2020年12月6日(日)14:00〜16:00

参加費:無料(途中参加・退出OK)

会場: オンライン(Zoomウェビナー)

www.blackhole.academist-cf.com

理化学研究所 数理創造プログラム(iTHEMS)とアカデミスト株式会社の共催によるWebセミナーです。ブラックホールをテーマに、最新の研究を紹介してくれるようです。

アドバイス

こうしたオンラインセミナーをいくつか聞くと分かることですが、最新の研究だからといって、初心者が理解したり、楽しめないわけでは全くありません。研究の進歩は本当にランダムなもので、知識・技術的には全く問題無くとも、発想が追い付いていなかったせいで、やり残されている仕事というのが山ほどあります。そういった背景を把握するために、上記のセミナー等のイベントはとても有益です。個人的にも、論文を読むよりも、その著者の話を直接聞いた方が、情報のインプットの効率が断然良いことが多いです。

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サクナヒメ、ハーバー・ボッシュ法、人口爆発。

キッカケは今話題の稲作ゲームでした。

www.marv.jp


ゲーム自体は未プレイですが、農業とか食糧問題とか、興味が沸いて調べたんですよ。そしたら「ハーバー・ボッシュ法」のチート性能にたどり着きました。

ハーバー・ボッシュ法 - Wikipedia


さて突然ですが、
(1)農業では肥料が欠かせません。なんで?
(2)雷のことを「稲妻」とも呼びます。なんで?
(3)輪作式農業では、マメ科の作物をサイクルに含むことが多いです。なんで?
↑これら全部、「窒素固定」がキーワードになっています。

当たり前ながら、農作物は生物なので、その生育には様々な窒素化合物が必要です。しかし大気中の窒素分子は、化学反応しないので利用できません。なので作物がすくすく育つには、土壌中に反応性の高い窒素化合物が含まれていなければなりません。肥料、稲妻、マメ科植物は、この窒素化合物を供給する能力があります。

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世界人口の推移。横軸は西暦、縦軸は世界人口(単位は1億人)。

んで、ハーバー・ボッシュ法(1906年)は、大気中の窒素分子からアンモニアを合成できます。しかも超大量に。そしてアンモニアからスタートして、大量の化学肥料が生産できます。これによって、人類が養える人口は飛躍的に増大しました。添付したグラフを見ると、西暦1900年からの人口増加がエライことになっています(グラフは国連さん等のデータから作成)。

現代の農業は「大気中の窒素を作物に変換する」プロセスです。稲妻とか輪作とかウン■とかでチマチマやってた中世式農法とは完全に別物です。ちなみに、自分は高校生の頃にハーバー・ボッシュ法は習ったのですが、当時はこんなリアルチートだとは認識できませんでした。なんでよりによって激臭物質アンモニアを量産したいのか、全く理解できなかった、、、。

そんなわけで、オレの中の「20世紀最大の発明」ランキングの1位がついに入れ替わりました。「水と空気と石灰からパンを作る」って、本来は神様の専売特許だと思う。

 

余談(1)
ハーバー・ボッシュ法に続く2位は「ペニシリン」です。こいつも大概チート。

余談(2)
Wikipediaの記事にもありますが、ハーバー・ボッシュ法は「平時にはパンを、戦時には火薬を」作り出す方法です。アンモニアからは化学肥料と同時に、火薬も合成できます。ちなみに、ハーバー・ボッシュ法以前には、実は火薬を安定供給するのは結構難しかった。大砲撃つのに、ウン■が大活躍しました(肥料と同じ)。ちなみに、中世イタリアのいくつかの都市では、火薬という最重要軍事物資のために、トイレの管理がかなり厳重だったそうです。

マスクが有効な理由が、一つだけだと誰が決めた?

研究でもしょちゅうあることなのですが、というか、今読んでいる論文でもそうなのですが、ある原因からある結果が導出、または予想されるとき、それをたった一つの理由だけ聞いて納得してしまうのは、非常に危険だ、という話です。

 

たとえ話として、「マスク着用はウイルス由来疾患の予防に有効なのか?」問題を。以前にもちょくちょく触れている話題ですが。

さて、私が「マスクはウイルスに対して無効だ!」と主張したとして、その理由が「マスクの網目よりもウイルスのサイズは格段に小さい→ウイルスはほとんど素通りで体内に侵入できてしまうから。」だとしたら、皆様納得していただけるでしょうか?尚、ウイルスの大きさ云々という知識は、正しいとします。それでも、多くの人は釈然としないと思います。

マスクを付ける→ウイルス性疾患にかかりにくくなる、という因果関係を保障する理由としては、ざっと考えられるだけでもこれだけ挙げられます。
(1)ウイルスを物理的にシャットアウトする(これは上記で否定されている)。
(2)マスクによって呼吸器内部に水蒸気が溜まり、これがウイルスを弱体化させる。
(3)マスクはウイルスは弾けないが、他の、サイズが大きい細菌やゴミは防げる。結果、本来これらの雑魚敵に対処していた体力・免疫力の無駄使いがなくなり、ウイルスの撃退に集中できるようになる。
(4)「ちゃんとマスクを付けている!」という安心感と心身相関により、着用していない場合に比べて、身体と免疫力が健康に保たれる(殆ど精神論ですが)。

本当に「マスクなんざ無意味!」と主張したいなら、これらの理由を全て潰さないといけません。逆に言えば、「マスクが有効」だという統計結果だけ見ても、上記の内、どの理由かは判別できないのです。科学論文でも、新しい因果関係を「発見」しただけで、その理由群を「解明」できていない場合、評価は一段低くなります(ゼロにはなりませんが)。

あとメタ分析的な話として、こんな可能性もあります。
(5)油断せずにマスクを付ける人は、他にも自己防衛策(真にウイルス予防に有効なもの)を講じている人が多く、結果、マスク着用者の方が、ウイルスにかかりにくくなる。


個人的には、これらの論点を全て自力で肯定or否定できていないので、マスクが云々という判断は保留中なのです。

 

しかし人間は往々にして、原因→結果の通り道が一本であって欲しいと願うものです。だってそっちの方が簡単だから。単純明快な論文や説明の方が人気を取りやすく、自分自身も安心させてくれます。この誘惑にどこまで抗って、色々な可能性について調べ尽くせるかが、知識人の真骨頂なのかもしれません。
まあ、だからと言って、単なる難癖を「検証すべき可能性だ!」とうそぶいて投げつけるのも、それはそれで問題なんですがね。

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Who fixed only 1 reason for 1 event?

(This is the English version of my article on 22th/11/2020. この記事は下記の英語訳になります。)

「物事が起こる理由が、一つだけだと誰が決めた?」 - ともいしろの雑記帳 (hatenablog.com)

This is something that happens all the time in research, or even in the treatise I'm reading now. When a certain result is derived or expected from a certain cause, could you be convinced by hearing only one reason? If yes, it's very dangerous.
As an example, think the question "Is wearing a mask effective in preventing virus-related diseases?" It's a topic I've touched on often before.
Now, let's assume that I insist "masks are NOT effective against viruses!", and the reason is "The size of the virus is much smaller than the mesh of the mask → The virus can almost pass through and enter into the body." If so, would you be convinced? The knowledge of the size of the virus is correct. Still, I don't think many people are persuaded.
To certify that "Wearing a mask can be the reason of less susceptible to viral diseases", there can be several ideas.
(1) Physically shut out the virus (this is denied above).
(2) The mask causes water vapor to accumulate inside the mouth an nose, which weakens the virus.
(3) The mask cannot repel viruses, but can prevent other large bacteria and dust. As a result, the waste of physical strength and immunity that originally dealt with these small fish enemies has disappeared. You will be able to concentrate on fighting off the virus.
(4) Due to the sense of security of "wearing a mask" and the psychosomatic correlation, the body and immunity are kept healthier than when not wearing it. It's almost a mental theory.
If you really want to insist that "masks are meaningless!", you have to eliminate all these reasons. To put it the other way around, it is not possible to determine which of the above reasons is responsible for the statistical results that "masks are valid". Similarly, if a scientific paper only "discovers" a new causal relationship but does not "elucidate" the reasons, the rating will be one step lower (although it will not be zero).
Also, as a meta-analytic story, there is such a possibility.
(5) Many people who are alert and wear masks also take self-defense measures (those that are truly effective in preventing viruses). As a result, mask wearers are less susceptible to the virus.
Personally, I haven't been able to affirm or deny all of these issues on my own, so the judgment that "Mask is bla bla bla ..." is pending.
However, humans often want a single path from cause to effect. Because it's easier. Simple and clear treatises and explanations are more popular and reassure you. It may be the true value of intellectuals to be able to resist this temptation and investigate various possibilities.
But, well, that's also a problem if you just claim a too difficult order and throw it as "a possibility to be verified!".

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クロアチア、秋、終了。

題名そのまま、クロアチアは本格的な冬に突入です。クリスマスシーズン始まってるんだから当たり前といえばそうなんですが。

個人的に、秋の終わりを決定づけるのが、紅葉(とかいってほとんど黄色ですけど、、、)が落ちること。ここZagrebでも、秋は紅葉が見られるのですが、今朝はほとんど落ちてしまっておりました。

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クロアチア・ザグレブの紅葉その1

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紅葉その2、奥に見えるのはおなじみ大聖堂。

以上、かろうじて撮れた写真です。今朝は気温が3度くらいしかなく、慌てて冬用コートを取り出して出勤しました。今週末はガチの冬支度になりそうです。

冬は寒さも勿論ですが、空気の乾燥も厄介です。各種ウイルス(コロナやインフルエンザ)は蒸気に弱いのですが、それ即ち、冬は奴らにとって天国ということ。しかも寒さで人間様は体力・免疫力ともにガタ落ちとくれば、ウイルスどもはヒャッハーし放題です。そんなわけで、皆様も重々お気をつけ下さい。

尚、マスクがウイルスに有効(かもしれない)根拠の一つとして、マスクによって呼吸器内部に蒸気が溜まるので、そこを通ったウイルスが弱体化するから、という説があります。ご参考まで。